令和2年9月市会本会議代表質疑:宇佐美賢一議員

2021年1月14日  
    宇佐美賢一議員
    1 今こそ政治決断を。本市財政状況がコロナ対策に及ぼした影響に関する市長の認識と決意について
    2 新しい市政へ。まずは、事業の整理整頓と「どんぶり勘定」からの決別を
    3 より利便性の高い行政サービスへ。オンライン申請、市役所のICT戦略について
    4 地域の水産資源に光を。在来種のアマゴや天然鮎の調査と活用を
    宇佐美賢一議員 左京区選出の宇佐美賢一です。日本維新の会市議団を代表し,門川市長へ市政について質問いたします。市長におかれましては,明確かつ前向きに御答弁いただけますようお願いいたします。 まず,今回の新型コロナ感染症への本市経済対策に関する市長御自身の評価と今後の財政立て直しへの決意についてお伺いします。私は初当選以来,京都市の財政の立て直しを訴えてきました。昨年度のこの9月市会でも,私は,財政健全化が進んではいるもののスピード感が遅いと指摘,市長はスピードアップのときだと答弁されました。しかし,今回,結果的にその財政再建の遅れから,自治体の貯金に当たる財政調整基 金が底をついた状態でコロナ禍に突入し,京都市が機動的かつ大胆に財政出動が行えていないことは痛恨の極みであります。緊急事態宣言を受け,京都府が営業自粛の事業者に対し中小企業へ20万円,個人事業主へ 10万円給付するとした際には,ほかの府内市町村の多くが,府の支給に同額を上乗せして支給した一方で,京都市は上乗せをしませんでした。独自の補助事業をしていると市長はおっしゃいましたが,市民からは,京都市はお金がないから京都市民はもらえないのだと落胆,批判の声が聞かれました。また,補正予算で実 施された経済対策については,予算額が少なく,すぐに申し込みが打ち切りになることへの不満,また件数が多いと,1件あたりが減額になるという説明への不安の声が上がりました。追加で補正予算を組まれまし たが,2次募集,3次募集が行われるわけでもなく,厳しい,苦しい状況の中,短い期間に申請ができなかった中小企業に対して,京都市は冷たいと感じられるのではないでしょうか。この最大の原因は,すぐに使え る財政調整基金の枯渇であることは明らかですが,市長の御認識,また緊急事態にこういった対応を招いた責任をどのようにお考えかお聞かせください。また,今後の財政再建に向けた決意はいかがでしょうか。さらに,市長は,何年も完成がずれ込んだ100億円規模の大型汎用コンピュータオープン化事業について一部中断を発表されました。遡れば,100数十億円規模の焼却灰溶融施設も完成しませんでした。本市の損失有 無以前に,大規模な計画が度々とん挫することは本市の事務事業執行体制にも問題があると言わざるを得ません。 そのうえでお伺いしますが,本当に市長3期目の退職金,つまり3回目の退職金,3,400万円を受取りされ るのですか。これを受け取ったら,市長退職金の累計が1億1,000万円を超えますよ。また,3回目に加え, さらに,この4期目分の4回目の退職金まで受け取りされるおつもりですか。どのような決意か併せて市長自らお答えください。次に,事業の整理整頓について幾つかお伺いします。このコロナ感染症に直面し,社会は変革を求められています。本市事業も変革が必要と考えます。一つは,敬老パスについてです。敬老パスは,高齢者の方の所得に応じて一定の御負担,年間で3,000円御負担の方の数が一番多いのですが,そういった御負担もいた だきつつ,高齢者の方が地下鉄やバスに乗る運賃を京都市が交通事業者に支払う仕組みの福祉サービスです。この支払いは,敬老パス発行1枚につき基本的に月16回乗るとし,1回当たり約190円で計算,発行枚数と掛け算し,支払われ,京都市の税金で支払う負担額は約51億円となっています。こういったいわゆるどんぶり勘定ですから,どの地域の人がどの程度使われているか,一人の方の利用回数がどうかなどの実態が全く分かりません。政策の偏りも指摘される中,私は利用実態を明らかにすべしと,敬老パスのICカード化も求 めてきました。実は,今回のコロナ禍では,利用者が明らかに激減しているにもかかわらず,このままでいけば,乗っていない乗車賃を今年度税金から予算満額約51億円を支払うことになります。市長,この令和2 年度の京都市の負担額をどうするかお答えください。また,もうこのどんぶり勘定の敬老パス制度は見直し,1回50円や100円といった応益負担に見直すべきでではないですか。明確にお答えください。また,本市が所有・利用する土地の整理整頓も必要ではないでしょうか。本市所有の未利用スペースの活用を促進していただきたい。市営住宅については,例えば古い仕様のお風呂やシャワーのない市営住宅については空き部屋多数となってきました。こういった住宅については,一部の敷地を民間で活用し,資金を生み出しつつ,市営住宅の設備を新しくする計画をスタートすべきではないでしょうか。学校跡地などの未利用地についても活用を促進していただきたい。また,そういった土地の活用に当たっては,立地が郊外に偏ってしまっている特別養護老人ホームなど,福祉施設への転用も併せて検討していただきたいと考えますがいかがでしょうか。一方で,本市が借り受けている土地についても同様に,整理整頓が必要ではないでしょうか。例えば,船岡山公園や市立紫野高校については,長年民間から土地をお借りして運営しています。その額は,公園が年6,700万円,高校が年約1億円であります。これはこのままいかれるのでしょうか。市長のお考えをお答えください。 次に,市役所のICT戦略についてお伺いします。今回のコロナ感染症で明らかになったことの一つは,行政組織がいまだに古いやり方や仕組みのままだということです。例えば,国民一人一人に10万円ずつ給付する特別定額給付金ですが,国がやると決めたものの,実際にお配りする自治体では,給付までに時間が掛 かり混乱しました。その最大の原因は,これだけ情報化された社会であるのに,給付のため日本国の世帯全ての振込先口座を目で確認し,人力で振込手続を行うという膨大な事務作業を行ったからです。京都市では 70万世帯もの確認を手作業で行いました。一方で,10万円がなかなか給付されないのに税金の納付や公共料金の支払いは期限どおりにやってくる。口座から自動引落としがされる。なんでと疑問を感じた方も多いと思います。行政の更なるデジタル化,合理化は待ったなしです。そのデジタル化の中身として,市民目線で 大きく二つの視点があると思います。 一つは,例えばスマートフォンなどを利用してワンストップで市民が情報を得られる,また,市役所が情 報を効率的に収集分析できる仕組み。もう一つは,市役所に出向くことなくオンラインで様々な申請ができる仕組みです。 まず,情報の発信・収集についてです。現在,本市では,例えばLINE公式アカウントでの市政情報の 発信,ごみ分別などの情報発信をしているこごみアプリ,建設局が道路などの危険箇所を市民に通報してもらうみっけ隊アプリなどがあります。また,京都市のホームページでも小まめに情報発信はされていますが,市民が役所の仕組みや用語をよくよく知っていれば情報にたどり着けるものの,知らないとたどり着けない,先ほどのアプリもばらばらで使いこなさないといけない。そういった役所の膨大な縦割りの前に市民が困惑するのではなくて,一本化して,市民がすっと情報にたどり着けるような仕組みに変えていくべきではないでしょうか。今はAIを使ったチャットボットが質問に答えてくれる取組が,民間企業では当たり前,自治 体でも導入が始まっています。スマホに向かって質問したら,すぐにチャットボットが答えてくれる,行政の制度や窓口を教え,つないでくれる。このアプリだけ入れておけば大丈夫。そうなれば,より市民の利便 性が高まるとともに,行政への問合せの前さばきをAIが行うことで業務も効率化すると考えます。また,災害時の被災場所の情報収集や健康データ,特定検診,がん検診などのデータの収集,分析,子育てデータ の収集,分析を行うことで,より効果的に必要な情報の発信につながる,災害状況が見えるようになり,必要な検診の案内が届く。そういった便利な社会に変えて行きませんか。 次に,オンライン申請についてです。お隣の大阪市では,行政手続のオンライン申請がスタートしました。 これは平成28年に当時の吉村大阪市長が,役所に来なくても手続ができるようにと着手し,この8月から一 部,200手続がスタートしました。全部で約3,000の手続のうち,面談が必要な物を除く約1,500手続を令和7 年度までにオンライン申請できるようにする目標とのことです。手数料の支払いもオンラインで決済,スマホでマイナンバーカードを使った本人確認の仕組みも間もなく搭載するとのことです。市民にとって役所に行く時間,交通機関の運賃が削減され,役所にとっては,マイナンバーカードで認証されたデータが届くので,確認の簡略化など業務の効率化も図れるようです。オンラインで物を買い,銀行の手続や投資をし,税 金の支払いをする時代ですから,行政手続ができないわけはありません。今回の大阪市の取組は,大阪市が民間事業者にシステム開発を発注,できたシステムは民間事業者が保有し,大阪市が毎月の使用料を支払う,いわゆるクラウドサービスの仕組みとなっています。そのシステムの 権利を大阪市は放棄しているため,他の自治体でも毎月の使用料を払えばそのシステムを利用できるという画期的なものです。こういったオンライン申請の仕組みを,市長,検討されませんか。ただ,こういった仕 組みを大阪市が採り入れるに当たって相当の苦労があったようです。事業の棚卸し,3,000手続の洗い出しと分析,そもそもの業務改善との並行作業が大変であり,組織の縦割りを超えた市長直轄のICT推進室を 設置し,おおむね3年掛かったとのことです。現在,ICT推進室は59名の職員で構成され,各局のサポートを行っているとのことです。市長のリーダーシップとこういった組織があってこそ,いやあ難しい,で終 わるのではなく,前に向かって進んだのではないでしょうか。京都市でも,まず,計画の策定,局を超えた ICT推進体制を構築すべきと考えますが,いかがでしょうか。 最後に,京都市北部の水産資源についてお尋ねします。左京区の北部には上桂川があり,放流されたアマゴや鮎釣りが楽しまれています。その最上流の渓流には,放流ではない在来種のアマゴが生息していることが最近の市民の調査で分かってきたそうです。また,鮎は,川で産卵,稚魚は海で育ち春に遡上する魚です が,上桂川で秋に産卵し生まれた鮎の稚魚が,下流の南丹市にある日吉ダムに流れ落ち,そこで琵琶湖と同様の陸に封じ込められた鮎,陸封アユとして育っていること,しかし,日吉ダムの入口にある小さな世木ダムの落差を超えられずに,春に上桂川へ遡上できず,日吉ダムの中で大きくもなれずやせた状態でいることが行政,市民の地道な調査で少しずつ分かってきました。 さらに,鴨川の鮎については,長年市民が天然鮎の遡上に御努力されていますが,今までどこで稚魚が育っているか分かっていませんでしたが,最近になって,どうも淀川河口のハーバーなどで育っているようだが,大阪湾の護岸が垂直で逃げ場もなく育ちにくいのではないかということが指摘されています。もちろん河川は国や府の所管であることが多く,また上下流の自治体にまたがった課題でありますが,市長には,こういった京都市の地域の水産資源の保護や活用についても光を当て,後押しをお願いしたいと思います。鮎は京都市の食文化になくてはならないものですし,アマゴも北部山間地域の生活文化そのものです。河川整備などでの配慮もそうですが,まずは改めて関係者,関係機関と連携しつつ水産資源のより詳細な実態調査 を行っていただきたいのですが,いかがでしょうか。以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
    市長(門川大作)宇佐美賢一議員の御質問にお答えいたします。 本市の財政についてでございます。本市は,他都市に比べ,納税義務者の割合が低いなど,財政基盤がぜ い弱であるために,担税力の強化に向け,国と歩調を合わせて成長戦略を推進し,令和元年度決算において は,納税義務者が7年連続で増加,市税収入は過去最高になるなど明るい兆しも見えてきておりました。しかし,地方交付税が大幅に削減される中にあっても,厳しい財政でありますけれども,3,400人の職員を削 減し,年間人件費2,170億円を確保するなど,行財政改革を徹底し,全国トップレベルの福祉,教育,子育 て支援の維持,充実や防災・減災対策に懸命に取り組み,成果を挙げてきました。しかし必要な財源が不足 しており,このために財政調整基金や公債償還基金を取り崩して補塡する厳しい状況にあります。このような状況の中で発生した新型コロナウイルス感染症に対しましては,当初予定していた事業の改めての徹底し た見直しにより,財源を捻出しました。その財源に加え,臨時交付金も活用し,現場の生の声をお聴きしながら,国,府ともしっかり連携し,感染拡大防止と市民生活,京都経済の下支えに必要な補正予算を5度に わたって迅速に編成し,実行してまいりました。市民の皆様と共に,この厳しい危機を何としても克服し,より強じんで意欲的な京都の未来を作り上げていかなければなりません。持続可能な財政の確立,行財政改 革に全力で取り組んでまいります。 以下,副市長及び関係理事者が御答弁申し上げます。
    副市長(岡田憲和)私からは2点御答弁申し上げます。 まず,本市におけます情報発信,収集と行政手続のオンライン化についてでございます。市民の皆様が知りたい市政情報をスムーズに入手できることは極めて重要であり,これまでから,市民しんぶんやSNSなど様々な媒体の特徴をいかした情報発信を行いますとともに,みっけ隊アプリなど,各種のアプリの活用も進めてきたところであります。引き続き,より効率的に情報発信,収集,分析が行える手法について,市民 目線,また利用者の目線に立って研究してまいります。また,行政手続のオンライン化の推進に当たりましては,国の動向も踏まえつつ,多様な市民のニーズやオンライン化に伴う新たな課題に的確かつ迅速に対応 する必要がございます。このため,部局を超えた全庁が一体となって行政のデジタル化を推進するための庁 内体制を確立し,行政手続のオンライン化をはじめ,ICTを活用した市民サービス等の更なる向上を図ってまいります。 次に,水産資源の実態調査についてでございます。鮎やアマゴなどの川魚は,京都が誇る食文化として受け継がれてまいりましたが,河川環境の変化に伴い,生息数は減少傾向にございます。こうした水産資源を 維持し,次世代に継承するには,漁協による稚魚の放流などの取組とともに,地元団体や市民の理解と協働 が不可欠でございます。そのため本市では,地域の漁協や住民等で構成する上桂川を守る会による,上桂川流域の清掃や調査,啓発活動などの支援を続けております。この間,川と海とを回遊せず,湖やダムの中にとどまって生育する,いわゆる陸封アユや在来種のアマゴなど,希少な水産資源の確認につながるなどの成果を挙げておりますけれども,こうした貴重な資源を保全していくためには,河川の流域全体で取り組む必要があると考えております。今後とも,漁協,京都府をはじめ,河川管理者や地域自治体,流域自治体等との情報共有を図る中で,保全団体による実態調査や鮎の遡上促進等の活動を後押しするとともに,その活動の成果を広く市民の皆様に発信するなど,水産資源を活用した地域活性化にもつなげてまいります。私からは以上でございます。
    副市長(鈴木章一郎)市有地の有効利用についてでございます。市有財産の活用に当たっては,まずは公共性・公益性を重視した政策的な活用を図ることとしており,そのうえで,公共性・公益性の観点から十分な活用が見込めない資産については,売却や貸付けを進め,有効に活用することとしております。こうした方針の下,これまでも,八条市営住宅の団地再生事業で生み出された土地を民間に住宅用地として活用いただいたり,吉祥院の消防出張所の跡地を社会福祉法人に貸し付けたりするなど,資産の活用を積極的に進めてきたところです。また,学校跡地については,本市施策の推進はもとより,地域の御意向を踏まえながら,地域をはじめ,市民の皆様にとってより良い利用方法となるよう取り組んでおり,更に有意義な活用を進めてまいります。今後も,地域の活性化,より魅力のある地域づくり,財源確保の点からも,市有地の有効活用に取り組んでまいります。なお,御指摘の船岡山公園や紫野高校は,本市の基準に基づき妥当な金額で借り受けているものであります。これらのほか,本市が借り受けている土地につきましては,場所等が施策上,必要な条件を満たすものと判断しており,引き続き借り受ける必要があると考えております。以上でございます。
    監察監(川端昌和)市長の退職手当についてでございます。市長の退職手当は,地方自治法及び本市条例に基づき,在職中の功績ないし功労に対する報償として支給しているものであり,一般的な制度であると考 えております。また,その水準につきましては,市長の職責や民間企業における支給状況及び他都市との均衡等を考慮して適切に設定しており,これまでから,平成25年に約13パーセント,平成30年に更に約4パーセント引き下げるなど,適宜必要な見直しを行っております。3期目の退職手当につきましては,4期目の任期と通算することを選択されたものであり,市長退任時には,条例に基づき,それまでの任期に応じた手当額が支給されるものであります。以上でございます。
    保健福祉局長(三宅英知)敬老乗車証についてでございます。本制度は,健康長寿のまちづくりを進めていく上での重要な施策であります。まず,交通事業者に対してお支払いする交付金については,その年の利 用者の実数によるものではなく,本市と交通事業者との間で締結した協定に基づき,敬老乗車証の交付者数に,設定運賃や利用回数を乗じた算定式によってお支払いいたしており,今年度も,その方法を変更する予定はございません。 次に,制度の在り方につきましては,今後とも高齢化が進展し,本市の市税負担の増加が避けられない中,このまま推移すれば制度が破綻しかねないと認識しております。このため,この間の様々な社会情勢の変化や,京都カードの創設に向けた検討,京都市持続可能な行財政審議会での議論なども踏まえつつ,本制度を将来にわたって守っていくため,応益負担や応能負担を問わず,幅広い観点から,引き続き,検討を進めてまいります。以上でございます。