令和3年9月市会本会議代表質問:菅谷浩平

2021年12月27日  
    A1 ガバメントクラウドファンディングによる投資的経費の抑制について
    2 北庁舎の建て替え費の抑制について
    B3 市の財産である出土遺物の適切な保管について 
    4 市営地下鉄の安全対策について
    5 市に相応しい行政区の適正規模について

菅谷浩平議員 北区選出の菅谷浩平です。日本維新の会市議団を代表し,宇佐美賢一議員に続いて京都市政一般について質問並びに提言をさせていただきます。 初めに,京都市では8月に策定したばかりの行財政改革計画で今後5年間に消費的経費を77億円削減し,投資的経費を年平均170億円に抑制することを目標としています。支出の効果が単年度若しくは短期的に終わる消費的経費と異なり,効果が将来にわたって残る資本形成のための投資的経費については,これらの一部ではありますが凍結をする,あるいは見直すという市の方針について,重要な考え方であると私も思います。 ただし,今年の2月市会で約270億円の費用が掛かる京都市立芸術大学の移転工事契約をこの財政難のさなか進めるなど,市は財政再建への認識が依然として不十分であるとも言えます。来年度以降は市民生活に影響を及ばさない範囲で,いかにこの投資的経費の執行抑制ができるかも大変重要となります。今後は,耐震性や防災,安全対策のための緊急性を要するような投資的経費を除き,そうでないものについてはオールオアナッシング方式のガバメントクラウドファンディングの積極的な活用を市に提言したいと思います。オールオアナッシング方式のガバメントクラウドファンディングとは,特定の事業を行うのに必要な財源をふるさと納税による寄付により集める制度で,目標金額に到達して初めて事業が行われるといったイメージの制度であります。これまで京都市は寄付を同時に募ることで支出の抑制を図ってきましたが,目標金額を定めていない,オールオアナッシング方式ではない,いわゆるオールイン方式のため,実際にはほとんどの支出が市の財源によるものとなっております。財政破綻目前の京都市に今求められているのは,なりふり構わず,プライドを捨て,財政再建に向かって突き進むんだというリーダーによる強いメッセージなのだろうと私は思います。緊急性を要しないものや市が一時凍結をしている事業に係る投資的経費については,このガバメントクラウドファンディングの積極的活用により,財源が確保できたものから順に着手するというような,大胆な発想の転換で財政再建を行っていただきたいと思いますが,市長の考えをお聞かせください。ただし,自分たち役所がぜいたくをしていては,助けてくれるものも助けてくれません。正に質素倹約,役所を運営するための経費については,極力ぜいたくをしないという姿勢が重要であります。 そこで次に,市に対して提言したいのは先月から共用が開始された本庁舎に続いて,今月から解体工事が始まる北庁舎の建替えについてであります。約4年にわたる改修工事を終えたばかりの市役所本庁舎については,工期の延長など総事業費は当初の予定よりも多くなるなど,市の見通しの甘さが議会でも度々指摘をされています。関西近代建築の父と称される建築家武田五一氏の監修で西洋,東洋の様式が融合し,近代建築を象徴する建物の一つとして評価が高いこの本庁舎の改修工事では,昭和2年の完成当時の趣を残しつつ, 耐震基準を満たしていない,老朽化している,バリアフリー化が十分でないなどの点が改善されております。 一方で,式典などに用いられる正庁の間の壁面に織物を張る緞子張りや,茶室として使える畳敷きの応接室 を整備するなど式典や来賓の歓迎行事で利用することを想定した改修が行われており,全体的に大変豪華な仕様となっております。しかしながら,北庁舎に関しては今後の市の厳しい財政状況を鑑みても,最大限の 工費圧縮に努めることを市には改めて求めておきたいと思います。柱の1本,タイルや窓ガラス1枚の仕様に 至るまでコスト意識を徹底して行えば,恐らく数億円単位で歳出削減効果は期待できるものと考えておりま す。市としてどのような目標を持って,2025年度の北庁舎の整備を完了させようとしているのか,市の考えをお聞かせください。あわせて,北庁舎の取り壊しに伴い,これまで北庁舎の屋上に設置されていた喫煙ス ペースが西庁舎の屋上に移設されたとのことであります。勤務時間中の職員の喫煙のルールについてはかねてより見直しを市に対し求めてきたところであり,職員の喫煙時間に対しても支払われている人件費はそれ だけで年間億単位にも及び,決して看過できるものではありません。そちらにいらっしゃる岡田副市長は, 北庁舎の建替えに合わせ喫煙所の在り方を検討すると昨年の私の9月市会で答弁されましたが,本気で行財政改革をする気があるのか,改めて,岡田副市長に答弁を求めたいと思います。 ここで一旦,質問を切らせていただきます。

    市長(門川大作)菅谷浩平議員の御質問にお答えいたします。 ガバメントクラウドファンディングの活用についてでございます。本市では,個人,企業において社会的課題の解決に取り組む機運が高まっている状況を捉え,民間資金の更なる獲得や活用に向け取り組んでいく必要があると考え,既に様々な挑戦をいたしております。例えば,ソフト事業を中心に文化芸術活動の支援や,再生医療の研究開発の支援事業においてガバメントクラウドファンディングを活用し,目標額を上回る 金額を獲得しており,今後もこうした成功事例のノウハウを全庁で共有のうえ,更なる活用に向けて取り組んでまいります。また,投資的経費に掛かるオールオアナッシング方式のガバメントクラウドファンディングにつきましては,億円単位の多額の費用が必要となる事業が多い中,寄付を集めることが現実的に可能かどうかという課題もあり,事業の規模や募集期間についても研究が必要であります。今後も,公益目的だから全て税金で負担という発想から脱却し,民間資金を積極的に活用してまいります。以下,副市長が御答弁申し上げます。
    副市長(岡田憲和)北庁舎の整備についてでございます。市庁舎整備事業は耐震性能の不足,執務室の分散化に伴う民間ビル賃借等に係る年間8億円の経費負担や,バリアフリー化への対応等の様々な課題を解消するために整備を進めているものであり,北庁舎につきましては,令和6年度末の完成に向けて工事に着手したところでございます。新北庁舎の整備に当たりましては,建築工事においてコスト削減のために仕様書の見直しを行ったうえで入札を実施し,落札額は予定価格から約3.6億円減少したところでございます。また,今後,入札を控えている設備関連の工事につきましても,同様に更なるコストの削減に向けて精査を行っております。くわえまして,財源の確保に当たりましては国費を最大限活用するとともに,後年度負担の少ない市債を充当するなど本市財政負担の抑制を最大限図ることとしております。職員の勤務時間中の喫煙につきましては,職務に支障がなく,市民の信頼を損なわないよう節度を持って行う限りにおいて認めており,喫煙による長時間の職場離脱を厳に慎むこと等について,機会あるごとに職員に文書等で周知指導を行っております。引き続き社会情勢の変化等を踏まえ,現状確認も継続しながら喫煙所の在り方も含めその検討を進めてまいります。以上でございます。
    菅谷浩平議員 前半は歳出抑制について質問と提言をさせていただきましたが,厳しい財政状況下でも必 要な投資はすべきとの観点から,後半は質問と提言をさせていただきます。 まずは,開発などによる発掘調査で市内の地中から出土した出土遺物の保管の在り方についてであります。 京都市では現在,市内8箇所の収蔵庫で出土遺物の保管をしておりますが,保管状態は決してよくはなく, 文化財保護課によれば,刀剣や木簡など出土遺物の一部が劣化や損傷してしまっているとのことであります。 現在,市が保管をしている出土遺物は縦40センチ,横60センチ,高さ15センチのコンテナケース約21万個分も保管されているそうでありますが,特に金属や木製の出土遺物は保管方法が大変難しく,乾燥や湿度にも非常に弱いため,適切な管理が必要と言われております。今回,国の財源を活用した補正予算で,置き型の除湿機が購入されるなど一定の環境改善が図られているようでありますが,出土遺物の適切な保管の観点からはそれが十分でないことは火を見るよりも明らかであります。信じられないことに出土遺物を保管する京都市の収蔵庫には,基本的に湿度や温度を調節する機能が完備されておらず,このこと自体がそもそも大問題であります。また,収蔵庫内の保管場所についても,現時点で8施設の合計使用率は既に約95パーセントと数年以内に保管場所がなくなることも分かっております。大阪市や神戸市,奈良市,岡山市といった近隣 の都市ですらきちんと保管ができる施設を持っております。財政難であっても京都市は自らを文化都市であ るとか歴史都市であると評するのであれば,京都市の歴史的財産である出土遺物を適切に管理,保管するた めの体制や施設の整備に速やかに取り掛かっていただきたいと思います。市では,現在使われていない市の 遊休施設の活用も含め検討されているようでありますが,来年度の予算措置も含め,今後の迅速な市の対応 を求めたいと思います。出土遺物の適切な保管の見直しについて,今後の対応をお聞かせください。 次の質問です。京都市が8月に策定をした行財政改革計画では,今から2年前の市長選のときの門川市長の 公約がほごにされている点が幾つもあり,市民を代表して質問をさせていただきます。京都市はこの行財政改革計画の中で地下鉄ホーム柵の全駅設置を延期することを表明しており,烏丸線の北大路駅のホーム柵の設置完了後については,何らめどが示されておりません。現在,地下鉄ホーム柵が整備されていない駅では 非常ボタンの設置,弱視の方用に注意喚起の線が引かれるなどの対策がしてあるとのことでありますが,目 の不自由な方をはじめ,地下鉄利用者の安全確保策については,財政難の中でもできる範囲でより一層図るべきと考えます。市営地下鉄では,平成28年度からの過去5年間で視覚障害者の方の駅ホームへの落下事故 は20件のうち1件のみでありましたが,利用客が激減する中でも今年に入って全体の事故は既に3件,そのうち1件が視覚障害の方によるものと聞いております。駅ホーム柵の設置については,巨額の財源が必要となり見送らざるを得ないとしても,費用を抑えた安全確保策は来年度以降にもやはり着手すべきであります。 例えば,改札やホームのカメラをAI,人工知能を搭載させたカメラにすることで,カメラが白杖をお持ちの方や盲導犬をお連れの方を自動で認識し,危険を察知した場合に音声ガイドが自動的に流れるような仕組 みであったり,点字ブロック上にQRコードを配しておくことで,専用のアプリが視覚障害者の方たちに音声でガイドをするなどの対策などが考えられます。門川市長は市長選の公約でホーム柵の全駅設置を公約に 掲げて当選された後,財政難を理由にこれらの凍結を表明されてから9箇月近く経過しておりますので,ホーム柵が整備されるまでの間,どのような代替案で地下鉄利用者の安全に向けた取組を行うのか,改めて考えをお聞かせください。 最後に,行政区の再編について市に提言をしたいと思います。現在,京都市は北区から伏見区まで11の行政区を持ち,人口としては国内で8番目に多い約145万人を抱える大都市であります。この数年は,観光需要 などを背景に市税収入が過去最高となるなどしましたが,それ以上に支出が上回る赤字体質からの脱却がで きず,数年後には財政破綻かというところまで来てしまいました。そんな中,ほかの政令市では,人口減少 による市税収入の減少や福祉経費など今後増加が予想される支出に対応するため,行政運営に係る役所の適正なランニングコストへの移行を検討する自治体が増えてきております。これらの市に共通するのは,行政区当たりの人口が少ない,あるいは行政区や区役所の数が多いとされる都市であり,最近では市を廃止して 24ある行政区を四つの特別区に再編し直す大阪都構想を掲げた大阪市のほか,静岡県の浜松市や新潟市でも 行政区の合区,再編が現在も議論,検討されております。また,京都市は他都市に比べ職員の数が多く,人 件費も高いことが問題点として有識者委員会からも指摘されております。行政区の再編によって市役所と区役所の適正な組織再編を行えば,職員数の見直しにもかなりの効果が現れることは現に行政区の再編を検討 している大阪市や浜松市,新潟市での試算,検証からも分かります。さらに,京都市の行政区の再編の可能性について検討すべきかは,別の比較からも見ることができます。例えば,京都市よりも人口が多い札幌市, 神戸市,福岡市はいずれも行政区の数が京都市よりも少なく,一方で,市街地の面積が京都市よりも広いことが調べてみると分かりました。つまりこれらの都市は,京都市よりも広い町なかにおいて,一つの行政区 で受け持つ人口が京都市よりも多いにもかかわらず,行政サービスを問題なく提供することができております。皆さんの中でこれらの都市の行政サービスが行き詰まっているといった話を聞いたことはありますでし ょうか。むしろ福岡市などでは,京都市とは違い人口流入が止まらないといった状況でもあります。行政区の再編を行うことで,行政規模の適正化が図られるとともに,組織の単位を拡大させることで業務量の平準化も図ることができ,より効率的な都市経営が期待できると考えております。京都市は財政破綻しそうなわ けでありますから,行政サービスをいかに持続的なものにしていくのか。京都市にふさしい将来的な行政区の在り方を市民と議会と京都市が共に議論しながら検討を進めていく。今がまさにそのときではないでしょ うか。京都市内の行政区の適正規模に関する在り方を今からでも検討すべきと思いますが,最後に門川市長の考えをお聞かせいただき,私からの代表質問とさせていただきます。
    副市長(吉田良比呂)私から行政区の再編についてお答えをさせていただきます。行政区の区域の見直し については,地域コミュニティの活動範囲や区民の行政区への愛着,また仮に再編を行う場合には,住所変更に伴う市民負担など市民生活への様々な影響について十分に考慮する必要がございます。そのため,現行 の行政区域の下,行政区間の規模の違いから生じる懸念や課題を軽減,解消する方策を講じ,業務の効率化を図ることとしています。区役所・支所においては,まちづくりや福祉,保健,子育て,地域防災など,それぞれの区の特性に応じたきめ細やかな行政サービスを提供する一方,効果的,効率的な体制となるよう税 業務の集約化や証明郵送サービスセンターの設置をはじめ,これまでから行政区域に捕らわれない体制の効率化に取り組んでまいりました。本市といたしましては,行政手続のデジタル化に向けた動きが大きく加速している状況を踏まえ,オンライン手続の拡充やICTの活用などスマートな区役所づくりをしっかりと進め,引き続き,市民サービスの向上と業務の効率化に取り組んでまいります。以上でございます。文化芸術政策監(山中博昭)出土遺物の保管についてでございます。京都は平安遷都以来,千年以上にわ たり我が国の都として絶えず新しい文化を創造してきた都市であり,多くの有形,無形の文化遺産が所有者 や市民の皆様の御尽力により守り伝えられてきました。京都市域で日々発掘される多くの出土遺物も我が国や京都の歴史及び文化を知るうえで欠かせない国民共有の貴重な財産であり,将来にわたって保存すべきも のであります。本市では,市内に8箇所の収蔵施設があり,それらの出土遺物を収蔵しております。しかし, 近年の民間建物建設などで出土遺物が急増しており,そうした中で収蔵環境についてはより適切にしていく 必要があると考えております。今般,9月補正予算におきまして,新型コロナ対策として収蔵施設の空調設 備等の導入に必要な経費を提案し御議決いただきましたが,これは収蔵環境の改善の課題にも資するもので あります。さらに,新たな保管場所の確保のため,本市が保有する施設の活用について庁内で検討を進めて まいります。厳しい財政状況ではありますが,国民共有の貴重な財産であり,歴史都市京都の宝でもある出土遺物をはじめとする文化遺産を未来へしっかりと継承できるよう今後とも努めてまいります。以上でございます。
    公営企業管理者(山本耕治)地下鉄ホームの安全対策についてでございます。経営ビジョンでお示しした 烏丸線全駅への可動式ホーム柵設置については,新型コロナの影響により大幅な減収となり,やむを得ず延 期することとしたものの,設置する方針そのものに何ら変更はありません。ホーム柵の設置がない駅の安全対策として,議員御紹介の新技術については現在国においても研究が進められているところですが,AIカメラで注意喚起する仕組みはまだ実証実験も行われておらず,また,点字ブロック上のQRコードにより案 内する仕組みは,ホーム柵のある駅で案内誘導用として導入されているのみで,転落防止用として使用する には十分な安全性の検証が必要とされており,実用化には至っておりません。現在交通局では,他事業者のホームの安全対策の把握に努めながら,有効な対策として非常停車ボタンの設置,列車進入時の警報音の導入,弱視の方にホームの端が識別しやすい赤色の注意喚起ライン設置などのハード対策や駅係員による視覚 に障害のある方への積極的な声掛け,お客様同士での声掛けを求める啓発活動等のソフト対策を実施しているところであります。今後も新しい技術の進展を注視しながら,引き続きホームの安全対策に取り組んでま いります。以上でございます。